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房州うちわ

Boshu Uchiwa (Boshu Fan)

千葉県

房州うちわは千葉県南部(房総半島南端の館山・南房総地域)で作られる丸うちわで、しなやかな竹骨を放射状に広げた独特の構造と、涼やかな風通しの良さが最大の特徴である。

歴史

房州うちわの起源は、江戸時代に房総半島南部へと伝わった京うちわの技法にさかのぼるとされる。温暖な気候と良質な真竹の産地に恵まれたこの地で、職人たちは独自の丸柄(まるえ)一体型の構造を発展させ、「房州うちわ」として独自のスタイルを確立した。明治・大正期には生産が本格化し、東京や全国へと出荷されるようになった。第二次世界大戦後はプラスチック製品や電気扇風機の普及により需要が一時低迷したが、伝統工芸の見直しとともに再評価が進み、経済産業大臣指定の伝統的工芸品として認定を受けた。現在も南房総市・館山市を中心に少数の職人が手仕事による生産を守り続けており、夏の風物詩として国内外から注目を集めている。

素材

主要素材は房総半島南部に自生・栽培される真竹(まだけ)で、しなやかさと弾力性に優れ、うちわの骨材として最適とされる。採取した竹は十分に乾燥・熟成させたのち、骨材用に割り裂かれる。貼り面には和紙や絹などが用いられ、骨との接着には伝統的な糊が使われる。柄と骨が一体となった「丸柄」構造のため、余分な継ぎ目がなく耐久性が高い。また、絵付けや染色に用いられる顔料・染料も、発色と耐久性を重視して選ばれる。

技法

製作工程は「割竹」から始まり、竹を細かく均一に割いて骨を作る。次に骨を扇状に広げて形を整える「もみ」の工程を経て、和紙や絹を貼る「貼り」へと進む。房州うちわ最大の特徴は、竹の丸い断面をそのまま柄に活かした「丸柄」構造で、骨と柄が一体成形される点にある。骨の数は多く、細かく均等に並べることで、しなやかで風量の豊かなうちわに仕上がる。貼り付け後は余分な紙を切り落とす「断裁」を行い、最後に縁に糸を巻く「へり巻き」で仕上げる。絵付けや染色によって意匠を施すものも多く、鑑賞用としても高い評価を受けている。

風土と工芸

房総半島南部は黒潮の影響を受けた温暖多湿な気候で、真竹の生育に適した環境が整っている。また夏の高温と強い日差しは、うちわへの需要を自然に高め、この地で扇工芸が根付く土壌となった。

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