波佐見焼
Hasami Ware
波佐見焼は長崎県東彼杵郡波佐見町を中心に生産される陶磁器。丈夫で実用的な日常食器として広く親しまれ、シンプルで洗練されたデザインが特徴。
歴史
波佐見焼の歴史は、朝鮮半島から渡来した陶工たちによって磁器の技術がもたらされた17世紀初頭に始まる。江戸時代には大村藩の御用窯として発展し、染付の庶民向け食器「くらわんか碗」を大量に生産。全国の市場へ廉価で実用的な器を供給することで、日本の食文化を支えた。明治以降は輸出向け洋食器の生産にも対応し、時代の需要に合わせて柔軟に変化してきた。現代では「HASAMI」ブランドをはじめとするモダンなデザインプロダクトが国内外で注目を集め、伝統と革新を融合させた産地として再評価されている。1978年(昭和53年)に国の伝統的工芸品に指定された。
素材
波佐見焼の主原料は、地元・長崎県周辺で産出される陶石および陶土。磁器の白い素地を生み出すために、珪石・長石・陶石を調合した原料が用いられる。素地は白く緻密で硬質なため、薄く成形しても十分な強度を保つことができる。釉薬には透明釉・青磁釉・鉄釉などが使われ、呉須(コバルト)による染付や色絵など多様な表現が可能。焼成には登り窯から近代的なトンネル窯・シャトル窯へと変遷しており、安定した品質の確保と大量生産を両立させている。
技法
波佐見焼の製造工程は、原料調合・成形・乾燥・素焼き・施釉・本焼きという工程を基本とする。成形には、ろくろ引き・鋳込み・プレス成形などが用途や品種に応じて使い分けられる。絵付けでは、素焼き後の素地に呉須で文様を描く「染付」が伝統的な技法として知られ、線描きの巧みさと染料のにじみを生かした独特の風合いが生まれる。また、色絵付けでは本焼き後に上絵具で色彩を加え、再び低温で焼き付ける。産地全体として分業制が発達しており、生地製造・絵付け・焼成・加飾それぞれの専門工房が連携して高い品質を実現している。
風土と工芸
長崎県波佐見町周辺は温暖湿潤な気候で、陶石・陶土などの原料に恵まれた丘陵地帯に位置する。豊富な薪資源と水資源が窯業の発達を支え、山間の地形が良質な粘土層の形成にも寄与している。
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